
ポール・オースターの「シティ・オブ・グラス」コミック版を読んだ。
ポール・カラシク&デヴィッド・マズッケリ& アート・スピーゲルマンによるコミック版は、迷宮のようなのにきちんと構築されている原作の雰囲気をよく抽出していると思う。
特に依頼主スティルマンが話すシーンでは、呪文を聞きながらどこかに落ちてゆくような感覚に襲われてしまう。
アート・スピーゲルマンの序文によると、オースター自身が、スピーゲルマンに「自分の小説のどれかをコミックにしてみないか」と持ちかけたことが事の始まり。
スピーゲルマンは、「Batman Year One」で前衛的な画風を展開したデヴィッド・マズッケリに、ひとつこの仕事やってみないかと打診する。
ところが、小説のエッセンスが今ひとつ引き出しきれないというマズッケリの言葉を受け、スピーゲルマンは、かつての優秀な教え子ポール・カラシクに話をもちかける。
カラシクは、「1987年当時(偶然にもオースターとスピーゲルマンが初めて出会った年)、教え子にオースター氏の息子ダニエルがいて、それに触発されて、すでに自分のクロッキー帳にシティ・オブ・グラスの試作をいくつか書き付けていたんだ」と、快く引き受ける。
オースターさん→スピーゲルマンさん→マズッケリさん→カラシクさん→ダニエル君→オースターさんと、偶然と必然がぐるりと一回りする、オースター的エピソード。
コミックの中では、本物のポール・オースターさんとして"本物のポール・オースター"が奥さんと息子さんと一緒に登場しています。
知的で謎めいていて、シンプルかつ力強く的確なマズッケリの絵のファンになってしました。
今度「Batman Year One」も読んでみよう。
あとアート・スピーゲルマンの作品も読んでみよう。

